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2021.01.07

定年後、仕事はどうする?いくつまで働きたい?

自分の老後を考えるとき、「定年後、仕事はどうする?いくつまで働きたい?」ということは、必ず考えなければならない問題です。

また、少子化に伴う労働力不足を解消するため、「高齢者の就労促進」は国としても取り組むべき重要課題の一つであり、長く働きたい人にとっては追い風といえる状況でもあります。

ここでは、シニアの就業状況と意識調査に関するデータや、シニアの就業に関する法改正の動きなどについてご紹介したいと思います。

1.シニアの就業状況は?

2019年の高齢者の就業者(以下「高齢就業者」)数は、2004年以降、16年連続で前年に比べ増加し、892万人と過去最多となっています。 

< 出典:総務省統計局 「統計トピックス No.126 統計からみた我が国の高齢者」  >

高齢者の就業率を男女別に見ると、男性が34.1%、女性が17.8%と、いずれも2012年から連続で前年に比べ上昇しています。65~69歳だけの就業率を見ても、2014年に男性は50%、女性は30%を超え、その後も一貫して上昇しています。

また、就業率を年齢階級別にみると、65~69歳では半数近い48.4%が働いているのに対し、70歳以上では17.2%となり、年齢が高くなるとともに就業率は低くなっていますが、 70代であっても5人に1人近くが就業している、という実態は、昨今の高齢者の働き方がいかに多様化・長期化しているかを現しているといえるのではないでしょうか。

< 出典:総務省統計局 「統計トピックス No.126 統計からみた我が国の高齢者」  >

ちなみに、日本に限らず、主要国各国ともトレンドとしては10年前よりも就業率が上昇していますが、特に日本は上昇幅(+5.3ポイント)も、就業率そのもの(24.9%)も、主要国の中で高い水準にあります。

これは、国によっては経済環境・雇用の低迷により高齢者が就労できる仕事が制限されてしまうことや、「高齢になってまで働きたくない、リタイア後はプライベートを謳歌したい」という価値観を反映していることなどが理由として考えられます。

いずれにしても、この結果からは、日本は高齢になっても働き続けることが他国よりも「当たり前」とされている度合いが高い社会、ということがうかがえます。

< 出典:総務省統計局 「統計トピックス No.126 統計からみた我が国の高齢者」  >

2.シニアの就業に対する意識は?

では、高齢になっても働き続けること人が多い日本の現状を、人々はどのように受けとめているのでしょうか。

内閣府の調査によると、今の日本の高齢者の就業意欲は非常に高いことが分かっています。

「何歳まで働きたいか」という問いに対して、現在仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答しており、70歳くらいまでもしくはそれ以上との回答と合計すると、約8割が高齢期にも高い就業意欲を持っていることがわかります。

< 出典: 『内閣府』平成29年版高齢社会白書(全体版) >

高齢者になっても働きたいと思う理由としては、どのようなものがあるのでしょうか。

全国の45歳~69歳1000名を対象とした「高齢者雇用に関する調査」(日本労働組合総連合会が実施)によると、「生活の糧を得るため」(77.0%)が最も高く、次いで、「健康を維持するため」(46.2%)、「生活の質を高めるため」(33.9%)、「働くことに生きがいを感じているため」(28.8%)、「仕事を辞めてもやることがないから」(24.9%)となっており、金銭面・健康面の関心・懸念が就労意欲の高さの背景にあることがうかがえます。 

< 出典:日本労働組合総連合会 「高齢者雇用に関する調査2020」 >

また、高齢者の働き方として、どのようなものがイメージされているのでしょうか。 

「65 歳以降も働きたい」と考えている人(計780 名)を対象に、「65 歳以降、どのような働き方を希望するか(または希望していたか)」を聞いた同調査では、以下のような結果になり、自身が現役時代に勤めていた会社で働き続けたいと考えている人が多いことがうかがえます。

・ 現役時代と同じ会社(グループ含む)で正規以外の雇用形態で働く 42.4%
・ 現役時代と同じ会社(グループ含む)で正社員として働く 33.1%
・ 現役時代と異なる会社で正規以外の雇用形態で働く 21.2%
・ 現役時代と異なる会社で正社員として働く / 会社をやめてフリーランスとして働く いずれも 12.1%

しかし、「現在自身が勤めている職場では、70歳まで就労できると思うか」という質問に対しては、

・ できると思う 43.0%
・ できると思わない 57.0%
(回答理由は、「70歳まで働ける制度がない」、「体力的に自信がない」、「処遇が低い」、「これまでに前例がない」、「65 歳以上の人ができるような仕事がない」など)

となり、この結果からは、「現役時代に自分が勤めていた会社で働きたい、でも現実的には難しいかもしれないと思っている」・・・という、理想と現実のギャップに悩む人々の姿が垣間見えるようです。

3.今後の法改正について

このように、「70歳以降も働きたい」「でも今の会社ではそれは難しそう」という漠然とした不安がある場合に、ぜひ知っておいていただきたいのが、以下の法改正です。

2020年3月31日に、70歳までの就業機会を確保するための「改正高年齢者雇用安定法」、いわゆる「70歳就業確保法」が成立しました。

これは現行法で義務付けられている「65歳までの就業機会の確保」に加えて、新たに70歳までの就業機会の確保を企業の「努力義務」とするもので、2021年4月から施行されます。

この「70歳就業確保法」では、65歳から70歳までの従業員に対して企業側が設けることが求められる就業確保措置として、以下の7つの働き方のパターンが示されました。

【雇用する】 定年廃止、定年延長、契約社員などでの継続雇用、他社への再就職
【雇用しない】 フリーランス支援、起業支援、社会貢献活動支援

特に後者の3つの働き方は、企業が一般的にとりうる選択肢としてはこれまでにはなかったものであり、「あくまで自社内で、自社の事業の範囲内で就業し続けるキャリア」から、「一人ひとりの能力や意欲、事情に応じた、柔軟で多様なキャリア」へ、我々の一生涯の働き方はシフトしつつある、と捉えることができるのではないでしょうか。

実際の法律では、どれを選べるようにするかは各企業の労使で決める、ということですが、このように選択肢が多様化すればするほど、逆に「自分はどうしよう」と悩んでしまうケースも出てきそうですよね。

様々な選択肢の中で自分が幸せに、いきいきと働ける選択肢を見つけられるためには、キャリア教育などでもよく言われる「Will」(自分は何をやりたいのか)と「Can」(自分は何ができるのか)という2つのポイントを自分自身が理解できていることがとても重要といえます。

「自分はいくつまで働くのか」ということとセットで、この2点についても、ぜひ今から考え始めてみてはいかがでしょうか。

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